紀尾井から全国へ広がる音楽の架け橋 ——野平一郎の新作を含む和と洋の弦の饗宴


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紀尾井から全国へ広がる音楽の架け橋 ——野平一郎の新作を含む和と洋の弦の饗宴

邦楽用の小ホールを併設し、洋楽と邦楽双方のファンに好評の日本製鉄紀尾井ホール。こうした特性をいかし、邦楽とクラシックの垣根を越えたコンサートも開催してきた。2018年にはチェロの岡本侑也と三味線の鶴澤寛太郎が共演。今年5月には、シリーズ「響き合う和と洋」初回として、紀尾井ホール室内管弦楽団が三味線の杵屋勝十朗らと邦楽器の協奏曲を演奏する公演も行ったが、刺激的な一夜だった。同シリーズは、8月1日から26年12月末までのホール改修期間中、全国の会場にて実施。10月の和歌山城ホール小ホールを舞台に開催されるのが、「紀尾井午後の音楽会」だ。菊央雄司(三絃)、菊重絃生(箏)、竹本小住太夫(太夫)、鶴澤寛太郎(義太夫三味線)といった邦楽界を主導する奏者、そして和歌山県出身の名ヴァイオリニストの澤和樹とピアノの蓼沼恵美子という豪華メンバーが出演する。

地歌「八島」、義太夫節「鎌倉三代記 三浦之助母別れの段」、三味線組歌「堺」に加え、澤と蓼沼による幸田延のヴァイオリン・ソナタ、貴志康一「竹取物語」も取り上げられるので楽しみだ。また18年公演に続き、野平一郎への委嘱新作が世界初演される。太棹三味線とヴァイオリンのための二重奏作品になるという。チェロと三味線による野平の前回の委嘱作「もつれ」も意欲作だったが、今回も各楽器の特性をいかしたチャレンジングな新作になるだろう。10月26日には同内容でフェニーチェ堺小ホールでも開催される。

文:伊藤制子